情報は中央に集結せず、分散して保管局序的な不具合があっても全体は影響せず
P2P(ピア・ツー・ピア)テクノロジーは、ブロックチェーンの根幹を成す技術の一つである。
ファイル交換ソフトで採用されて有名になったが、本質は中央集権的なサーバーが不要なところにある。
ネットワーク上で必要な相手を見つけ出し、サービスを成立させられる点が、サーバー型の大きな違いだ。
インターネットで検索をするとき、われわれは検索サービスを呼び出す。
情報を集約したサーバーが、ヒットした相手の情報を伝えてくる。
「情報が集まっている」ところに問い合わせることはネット上でも実社会でも行われてきた。
しかし、問い合わせ先が止まっていたら、返信はなくサービスは提供されない。
そこで、各地に分散して情報を持ち、これを持ち寄ることができれば、中央に情報を集約しなくてもサービスを提供できる。
このような考え方から考案されたのが、P2Pテクノロジーである。
情報は仲間へ問い掛けて探す
P2Pテクノロジーで必要な情報が存在するかどうかを確認する際には、ネットワークにつながった「仲間(ビア)」のコンピューターに問い掛ける。
仲間とは、同じP2Pサービスを扱うコンピューターだ。
例えば、「X」の情報について、マシンAが、ネット上に存在していることが知っているマシンBに対して問い合わせたとしよう。
ここで、AはBしか知らないとする。
問い合わせを受けたBは、自分が存在を知っているマシンCとDに転送する。
Cが情報「X」を知っていれば、CからAは、情報「X」を知っているということが通知される。
AC間の連絡は直接行われ、間に「ブローカー」と呼ばれる仲介者は入らない。
情報の発見や通信には、仲介者が不要だ。
これがP2Pと呼ばれるものだ。
ここで重要なのは、各マシンは、すべての仲間の情報を持っていなくても、情報流通が成立することだ。
Anitotte道のCから返事があり、しかも直接更新もできる。
ブローカーなしでも相手の「発見」と「通信」ができるわけだ。
ブローカー不要で立ち上げ容易
従来のシステムはブローカーの機能をサーバーで実現したが、これが不要なP2Pは、「サービスの立ち上げが容易」というメリットがある。
サービス開始に大規模投資は不要だ。
もい一つのメリットは、情報が分散しているため、局所的な不具合がネットワーク全体に波及することがないという点である。
さらに、同じデータを分散した別の場所で保有することにしておけば、ある場所のデータが破壊されたとしても、別な場所に保存されている同一のデータを参照して復元できる。
ブロックチェーンでP2Pテクノロジーが採用されているのは、こうしたメリットもあるためだ。
もっとも、P2Pでは全体を把握するものがどこにもない、ということでもある。
そういう意味では、全体を統一して管理するのにはP2Pテクノロジーは向いていない。
1990年代に広まったP2Pテクノロジーは当初、ファイル交換サービスでは、P2Pを採用することにより実体を隠蔽できる(誰がいつ、どのコンテンツを交換したかの困難)という結果もあるため、違法コンテンツの流通に人気を博したこともある。
P2Pは、情報が分散されており、それらの更新は同時に行われるわけではない。
そのため、ネットワーク全体では、ある瞬間に同じ情報を持っている補償ができず、また情報伝達の速度も補償できない。
究極の「ベストエフォート」方式(結果を得られるように最善の努力をする方式)であるともいえる。